名古屋市立大学 大学院薬学研究科・薬学部
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 南カリフォルニア大学(USC)薬学部との交流については、例年通りに学生の派遣(臨床薬学研修)及び受入を行った。また、第3回合同薬学会議の2005年(平成17年)開催に向けて準備委員会を発足した。一方、交流協定を締結して2年目を迎えたシドニー大学(USYD)健康科学カレッジへは初めての教員派遣を行った。
USC薬学部での臨床薬学研修には、11名の大学院生が参加した。日程は8月18日から29日までの約2週間で、定宿となっているKawada Hotelに滞在し、名城大学薬学部、東京薬科大学薬学部、富山医科薬科大学薬学部からの参加者と共に研修を受けた。詳細については学生代表による報告に譲るが、導入講義を受けた後、USC薬学部学生(4年生)の実務研修に組み込んでもらい、大学及び地域の病院薬剤部や調剤薬局での研修を受けるという、ほぼ例年通りのプログラムを実施した。なお、USCの受入担当者が、本年度からDr. Wincor(学外交流担当の副学部長)に交代した。交流開始当初から10年近く担当されたDr. Robinsonの転出後、2年間のDr. Besinque(実務研修の責任者)による担当を経ての交代である。

USC薬学部からは、2名の女子学生(Anna Ly、Margaret Wong)を研修生として受け入れた(9月30日から11月6日までの約6週間)。本研究科の薬物動態制御学、製剤設計学、精密有機反応学、中枢神経機能薬理学、感染症制御学、医薬品代謝解析学の各分野のほか、市立大学病院薬剤部、中部労災病院薬剤部、名古屋処方箋調剤薬局(平針)、緑調剤センター(名古屋市薬剤師会)、のなみ調剤センター薬局の協力も得て研修を行い、日米の研究、教育、実務の相違などについて相互に理解を深め、意見を交換する機会とした。
USC薬学部との合同薬学会議の2005年開催に向けてDr. AnnとDr. Stimmelの両USC教授を責任者とする準備委員会が10月に発足した。この合同会議は、USC薬学部と提携している他大学(東京薬科大学、名城大学、富山医科薬科大学)とも協力して隔年開催しているもので、最新の研究成果についての活発な討論が行われるほか、臨床薬学教育に関する情報交換等も行われる。1999年の第1回会議(ロサンゼルス郊外のパサデナ)、2001年の第2回会議(八王子)の後、今年に予定されていた会議はUSC側の事情で中止となったが、2年後の2005年にはUSCの主催で第3回会議が開催されることとなった。開催地はロサンゼルス近郊、開催時期は8月あるいは12月頃の見込みである。

USYD健康科学カレッジへは、私(湯浅)が9月上旬から中旬にかけての11日間の日程で訪問し、Hak-Kim Chan准教授(薬学部の国際交流担当者)ほかと研究・教育の最近の動向についての意見交換などを行った。また、具体的な交流活動についての協議を行った。当面は、教員レベルでの相互訪問を行いながら、学生あるいは博士研究員の受け入れや研究協力の可能性等を模索することになるであろう。
ここで、アメリカ合衆国、オーストラリア両国の薬学教育事情を簡単に紹介しておきたい。アメリカ合衆国では、4年制の専門職大学院(Pharm.D.課程)を卒業することによって薬剤師試験の受験資格が得られる。その教育課程には1年程度(4年次)の実務研修が含まれるが、別に所定の時間数の実務研修を各自で行うことが義務付けられている。教養教育については、USCでは、教養学部で履修することができる(3年)。しかし、一般に、理系学部(4年制)を卒業することによって教養教育に関する所定の条件を満たして薬学部(日本では慣例で薬学部と称しているが、正確には専門職大学院)に入学する学生が多いようである。研究者養成のためには、日本の博士課程に当たるPh.D.課程(5年制)がPharm.D.課程と並ぶ形で用意されているが、学生数はそれ程多くはない。両課程を履修することも可能であるが、履修者はごく少ないとのことである。一方、オーストラリアでは、4年制(1年程度の教養教育及び若干の実務研修を含む)の大学薬学部(B.Pharm.課程)を卒業後、1年間の実務研修を経て薬剤師試験の受験資格が得られる。薬学部卒業後の進路として研究者養成を目的とした大学院(2年制のM.S.課程とそれに続く3年制のPh.D.課程)がある点は、日本の場合と同様である。しかし、進学率は低く(USYDでもわずかに5%程度)、他の理系学部からの入学者がむしろ多数を占めているとのことである。製薬産業の規模が大きくないという背景はあるが、教育・研究の基盤の確保という視点からは好ましい状況ではなく、大学院進学率の向上(研究者養成の強化)が課題との見方があるようである。国によって社会的及び歴史的背景等が異なることもあり、薬学教育の現状及び課題はそれぞれである。日本の諸事情を踏まえ、参考にすることができればと思う。
以上のように、本年度も着実な国際交流活動を展開することができた。今後も関係各位のご協力ならびにご支援をお願い申し上げたい。

薬学研究科国際交流委員長 湯浅博昭(薬物動態制御学教授)

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