名古屋市立大学大学院薬学研究科・薬学部English SAMPLE COMPANY
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抗プリオン活性化合物の開発

狂牛病は、ウシの脳がスポンジ状に変性して運動機能などに障害が現れる感染性疾患ですが、この病気には「プリオン」と呼ばれる蛋白質が関与していると考えられています。
プリオン蛋白質には「正常型」と「異常型(感染型)」の2種類が存在しますが、この2つは、全く同じアミノ酸配列を持っており、立体的な形だけが異なることが知られています。プリオンは大変不思議な性質を示し、異常型プリオンが健康なウシの脳神経系に入ると、そこにある正常型 プリオンを「異常型」に変化させ、異常型プリオンを増加させてしまいます。これにより狂牛病を発症させると考えられています。
狂牛病のように「異常型プリオン」が関与する疾患を「プリオン病」と総称します。プリオン病は、ウシやヒツジのほか、稀ですが、ヒトにもおこることが確認されており、ヒトのプリオン病としてクロイツフェルト・ヤコブ病などが知られています。しかしこれらのプリオン病には、現在有効な治療法がありません。


プリオン蛋白質の構造モデル。正常プリオン(左)と異常プリオン(右)

当研究室では、プリオン病治療薬の候補化合物開発を目指して研究を開始しました。プリオン病の原因の1つとして、異常型プリオン蛋白質の脳内での凝集と蓄積が考えられています。そこで、異常型プリオンの凝集を抑制する化合物の開発を行いました。


開発したピラゾロン化合物の一般式

開発の元となる化合物として、脳保護薬エダラボンをヒントに、多様な誘導体(関連化合物)が合成可能なピラゾロンに着目しました。様々な誘導体を合成して、異常プリオンが自然に凝集してしまう細胞(プリオン病モデル細胞)に投与し、その効果を試しました。その結果、プリオン病モデル細胞で、異常プリオンの凝集を抑制する(抗プリオン活性を示す)化合物を開発しました。この化合物は、世界で最も優れた抗プリオン活性を示しました。

[発表論文]
J. Med. Chem., 50, 5053-5056 (2007)

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