名古屋市立大学大学院薬学研究科・薬学部English SAMPLE COMPANY
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光レドックス反応を用いた光制御型NOドナーの開発

一酸化窒素(NO)は排ガス中などに含まれ、大気汚染や酸性雨の一因になると考えられているガス状分子の一種ですが、生体内で作り出され、生物が生きていくうえで欠かせないはたらきをしていることが明らかにされています。このためNOは、そのはたらきを応用することによって新しい医薬品の候補になるのではと考えられています。しかしNOは非常に不安定で取扱いが難しいため、医薬品へと応用するためにはNOを貯蔵し、望む時間、場所で放出させることのできるNO発生剤(NOドナー)が必要です。

私たちは制御方法として光をトリガーとした、光制御型NOドナーの開発を行いました。青色の光を吸収するアンテナ部位と、NO放出部位としてのN-nitrosoaminophenol構造を結合させた分子を設計・合成し、可視光を照射することによってNOを発生することを確認しました。この分子はアンテナ部位が光を吸収することによって分子内で一電子酸化還元反応(光レドックス反応)が起こり、NOを放出すると考えられています。さらに、このNOドナーを使うことによって、NOの生体内のはたらきの一つである血管弛緩作用を光によって制御可能であることを、ラットの大動脈切片で確認しました。
この化合物はNOの作用を応用した研究試薬、または化学療法剤の候補化合物として用いられることが期待されます。
[発表論文]
J. Am. Chem. Soc., 136, 7085-7091, (2014)
Org. Biomol. Chem., 15, 2791-2796, (2017)
Sci. Rep., 9, 1430 (2019).
Chem. Pharm. Bull., 67, 576-579 (2019).
ACS Chem. Biol., 15, 2958-2965 (2020).
J. Synth. Org. Chem. Jpn., 78, 1048-1057 (2020).

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