名古屋市立大学大学院薬学研究科・薬学部English SAMPLE COMPANY
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光反応性を利用したHNOドナーの開発

HNO (ニトロキシル) は、一酸化窒素 (nitric oxide : NO) が、一電子還元された化合物ですが、生物学的および薬理学的に重要な作用を持つと考えられている活性種の一つです。特に、心血管系に対してNOとは異なる独自の作用を示すことから、心不全治療への利用が期待されています。
しかし、HNOを放出する化合物 (HNOドナー) やHNOを検出する分析手法が十分確立されていないため研究が進んでおらず、HNOの性質に関しては未だ不明な点が多いのが現状です。
これまでに知られているHNOドナーは、化合物が自然に分解するときにHNOが発生する性質を利用したもので、HNO発生量を自由にコントロールすることは困難でした。

そこで当研究室では、このような自然発生型のHNOドナーとは異なり、HNOの放出を自由に制御できるHNOドナーの開発を目指して研究を行いました。
私たちは、ヘテロDiels-Alder環化付加体が熱による逆反応とそれに続く反応によってHNOを放出することに着目しました。光を吸収してこの反応を起こす化合物を設計し、光によりHNOを放出する光反応性HNOドナーの開発に成功しました。

[発表論文]
Chem. Commun., 5149-5151 (2008)

最初に開発した光反応性HNOドナーは水溶性に乏しいという難点がありました。ドナー化合物を生物実験に使用するために、水溶性は大切な性質です。そこで開発した光反応性HNOドナーを生物実験でも使用できるように、水溶性を高くする改良を行いました。
分子内にカルボン酸を2個持つようにすることで、生物実験に利用できる水溶性を持った光反応性HNOドナー化合物の開発に成功しました。

さらにこのとき、開発した水溶性の光反応性HNOドナーは、予想以上に安定な性質を持つことを発見し分子内水素結合の重要性を示しました。

[発表論文]
Chem. Commun., 46, 3788-3790 (2010).
Chem. Pharm. Bull., 60, 1055-1062 (2012)

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