講座内容

平成21年度(第二期)講座内容詳細

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講義コースのご案内

RNA研究と疾患治療への応用
【日時】平成21年8月29日(土)13時~17時(前半)
【メイン会場】名古屋市立大学薬学部
【講師】名古屋市立大学 遺伝情報学分野教授 星野 真一
【内容】2004年ヒトゲノムの完全解読により、蛋白質をコードしない数多くの機能未知非コードRNAが発見され、また2006年にはRNA干渉の発見によりMelloとFireがノーベル賞を受賞するなど、RNAに関する研究は急速な勢いで進展しつつあります。また、このようなRNAに関する基礎研究を土台にして、主としてベンチャー企業がリードする形で創薬を含めた臨床応用の研究も急速に進展してきています。今回の講義においては、このようなRNA研究から発展しつつある創薬研究の一端について紹介します。前半は、RNA代謝の基礎研究から発展してきた、低分子化合物による遺伝子疾患の薬物治療「リードスルー療法」について、また後半は、高分子化合物であるRNAそのものを薬に応用しようとする「RNA医薬」について紹介します。
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細胞がん化の制御機構~新たな分子標的の探索~
【日時】平成21年8月29日(土)13時~17時(後半)
【メイン会場】名古屋市立大学薬学部
【講師】名古屋市立大学 分子生物薬学分野准教授 長田 茂宏
【内容】我が国において、がんは1981年から死亡原因の第1位になり、3人に1人はがんで亡くなっています。がんの克服を目的に多方面から研究が行われ、「がんは遺伝子の異常によって起こる病気である」という概念が確立し、治療などに役立っています。がん治療に重要な化学療法において、有効な抗がん剤が開発されていますが、他の医薬品に比べて副作用が多い点が課題として残されています。これまでの抗がん剤の多くがDNAを標的としていることがその原因のひとつと考えられます。それ故、がん細胞に特異的なタンパク質を標的とした分子標的治療薬が注目されています。近年の生命科学研究の進歩により、がんは遺伝子の異常だけではなく、遺伝子機能を制御するタンパク質やその化学修飾の異常が関与することが明らかにされつつあります。本講義では、DNAの塩基配列の変化を伴わない遺伝子機能制御異常と細胞がん化との関係を紹介したいと思います。
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MRSA感染症の薬物治療
【日時】平成21年9月17日(木)19時~21時
【メイン会場】静岡県立大学薬学部
【講師】静岡県立大学 臨床薬剤分野教授 賀川 義之
【内容】本講義の目標は、「MRSA感染症における病態や薬物療法の特徴を理解し、基本的な処方鑑査および投与設計を行うことができる。」としています。MRSA感染症は生命を脅かす重篤な感染症であり、免疫能が低下した患者さんに発病しやすい疾病です。MRSA感染症の薬物治療は十分な量の抗菌剤を投与することが基本であり、副作用のでない範囲で高用量を投与します。従って、副作用が発現する危険を防ぐため、薬物治療モニタリング(TDM)が実施されます。本講義ではMRSA感染症の病態について学んだあと、TDMについて基本的な考え方について学びます。さらに、代表的な抗MRSA治療薬であるバンコマイシンやテイコプラニンについて、その薬物動態や作用機序に基づいた薬物投与設計の事例を症例を示しながら説明し、処方監査や投与設計を行う上での知識の修得を目指します。
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網膜疾患とその治療戦略
【日時】平成21年11月19日(木)19時~21時
【メイン会場】岐阜薬科大学
【講師】岐阜薬科大学 薬効解析学研究室准教授 嶋澤 雅光
【内容】緑内障、加齢黄斑網膜症及び糖尿病網膜症に代表される網膜疾患は、日本における失明原因の上位を占めている。これらの疾患はいずれも年齢とともに失明の割合が高くなり、特に高齢化社会においては深刻な問題となっている。例えば、緑内障において40歳以上の平均有病率は約5%、20人に1人が罹患していることが疫学調査により報告されている(多治見スタディー)。しかしながら、緑内障の治療薬として眼圧下降薬などはあるものの、その効果は必ずしも十分とは言えない。一方、糖尿病網膜症及び加齢黄斑変性症においては抗血管新生薬などの新しい治療法が見出されている。本講義ではこれら網膜疾患の病態、その治療戦略の現状と将来期待される治療アプローチについて解説する。
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アレルギーの発症の仕組みとくすりの話
【日時】平成22年1月30日(土)13時~15時
【メイン会場】岐阜薬科大学附属薬局
【講師】岐阜薬科大学 薬理学研究室准教授 田中 宏幸
【内容】アレルギー疾患患者数は近年漸増しており、最近の疫学調査では、国民の約1/3が何らかのアレルギー疾患を患っているとも言われています。アレルギー疾患の発症には遺伝因子と環境因子とがともに重要な役割を果たすとされていますが、過去50年ほどで患者数は急増していることからも、この患者数の増大には環境因子の関与が大きいと推定されています。代表的なアレルギー疾患であるアトピー型喘息の患者数も漸増しており、室内環境因子であるダニ抗原などのアレルゲン、室外環境因子である大気汚染や病原微生物による感染曝露(衛生仮説)が重要な役割を有していることが推察されています。一方、乳幼児期にウィルス感染にかかると逆に気管支喘息になりやすいことも報告されています。本講座では、アレルギー疾患の発症機序と遺伝背景・環境因子との関係を再考するとともに、現状のアレルギー治療薬の有効性ついても概説します。
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環境化学物質と内分泌撹乱
【日時】平成22年1月30日(土)15時~17時
【メイン会場】岐阜薬科大学附属薬局
【講師】岐阜薬科大学 衛生学研究室准教授 中西 剛
【内容】近代工業の発展に伴い、様々な化学物質が世に送り出されてきたが、それと共にこれらの物質のヒトへの健康影響や野生動物への影響も懸念されてきた。また近年、従来の毒性学の概念とは異なった毒性を示す化学物質として、生殖機能などに影響を与える内分泌撹乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)が大きな社会問題として取り上げられた。環境ホルモン研究が精力的に行われるようになってから既に10年以上が経過しており、その研究対象分野は生殖系のみならず、免疫系、中枢神経系、代謝系、行動などの広い範囲にわたっているが、未だに不明な点が多く残されているのが現状である。本講座では、これまでの環境ホルモン研究について概説すると共に、内分泌撹乱作用機構が明確に解明された代表例である有機スズ化合物について、我々の成果を交えて紹介したい。
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EBMと治験-薬局薬剤師が知っておきたい基礎知識-
【日時】平成22年2月20日(土)13時~15時
【メイン会場】名古屋市立大学薬学部
【講師】静岡県立大学薬学部 医薬品情報解析学分野教授 山田 浩
【内容】Evidence-based Medicine (EBM) とは、個々の患者の治療方針を決定する上において、現存の最良の根拠(エビデンス)を集約・活用する方法論です。治験は科学性・倫理性・信頼性を高く保って行われる臨床試験であることから、エビデンスが最も高い研究として位置づけられています。1991年に EBM の概念が提唱され既に20年を過ぎ、今や EBM は医療現場に広く浸透し、それを実践できる力を身につけることは薬局薬剤師にとっても必要性が高い時代となっています。EBMのステップは、患者の問題の分類と定式化から始まり、情報収集とその批判的吟味、さらに得られたエビデンスの患者への適用とその評価といった一連の流れがあります。EBMを上手に使いこなすには生物統計学や疫学の基本的知識が必要となりますが、本講演では、その基本を踏まえながら、わかりやすく解説していきます。
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心不全の病態と治療
【日時】平成22年2月20日(土)15時~17時
【メイン会場】名古屋市立大学薬学部
【講師】静岡県立大学薬学部 分子病態解析学分野教授 森本 達也
【内容】我が国も生活習慣の欧米化から、メタボリックシンドロームの発症頻度は年々増加し、その最も重篤な合併症である心筋梗塞の発症頻度も急増している。心筋梗塞症の基盤となる冠動脈硬化症に対して、カテーテル治療(PCI)や冠動脈バイパス術が行われているが、これら血行再建術による血流改善は急性期の救命率のアップなどに貢献しているが、一度脱落した心筋細胞は再生することがほとんどないため、心不全へ移行する。こうした虚血性心疾患以外の高血圧、弁膜症、心筋症などあらゆる心疾患の最終像が心不全である。 本講義では、心不全の原因、病態、症状から治療までの教科書の知識だけでなく、最新の臨床試験の結果などもまじえて、幅広い視野からの説明を行う。
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実習コースのご案内

調剤(基本・特殊)「快適な医療を提供するための創剤―グミ製剤の調製―」
【日時】平成21年11月14日(土)13時~17時
【メイン会場】名古屋市立大学薬学部
【講師】静岡県立大学 実践薬学分野教授 並木 徳之
【内容】苦い薬を服用することは、子供でも、大人でも、いやなことです。苦い薬を子供に飲ませるお母さんのご苦労は、昔も今もかわりません。そこで、苦い薬をお菓子のグミに混ぜたグミ製剤を調製し、患者さんに快適な医療を受けていただくための工夫について実習を行います。グミ製剤はゲル化製剤ですので、お菓子ではなく、“おかしな薬”ですから、医薬品製剤としての均一性、安定性そして再現性が必要となります。そのために、ゼラチンや糖アルコールなどの原料ブランド、純度などを厳選し、画一化した製造方法で厳密に調製します。しかし製造とはいっても、製薬企業のようなハイテク設備や機器を使用せず、病院、あるいは薬局にある備品を利用して調製することができ、また、経験や熟練を必要とせず誰が調製しても臨床で使用できる水準のグミ製剤をつくることができる処方と製造方法にしてありますので、みなさん、安心して、楽しく気軽に参加してください。
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TDM「薬物血中濃度測定値の解析と投与設計支援」
【日時】平成21年9月6日(日)13時~18時
【メイン会場】名古屋市立大学薬学部
【講師】岐阜薬科大学 杉山正、中村光浩、堀内正ら
【内容】現場の薬剤師が患者の病態や薬物血中濃度に基づいた治療的薬物モニタリング(TDM)を理解し実践できることは、薬物治療の個別化において大変重要なことです。今回の実習では、製薬企業が無償で提供している血中濃度解析ソフトを用いた簡単な投与計画の立案法を学びます。1)TDMに必要な患者情報および臨床的背景を診療録や薬歴から読み取るコツを身につける、2)血中濃度解析ソフトを用いて薬物動態の基礎を学ぶ、3)抗MRSA薬バンコマイシン解析ソフトを用いた投与計画の立案を体験する、4)抗MRSA薬アルベカシン解析ソフトを用いたTDMを体験する、5)医療スタッフに情報提供する態度および提案方法を学ぶ。以上の項目について、日々の業務に役立つような情報を交えながら実習を行っていく予定です。なお、パソコン、解析ソフトはこちらで用意させていただきます。
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IT「薬剤師のためのパソコンを利用した情報収集演習」
【日時】平成21年10月25日(日)13時~18時
【メイン会場】富士通マイゼミナール名古屋教室
【講師】名古屋市立大学 鈴木匡、前田徹、岡田浩美
【内容】本演習は、名古屋市伏見にある富士通のパソコン教室を会場に行います。 各人に1台のパソコンを用意いたします。まず初級、中級、上級の3つのクラスに分かれていただき医薬品情報の基礎的事項を講義したのち、早速インターネットを利用した情報検索を体験いただきます。最初に「検索」の方法について実際の例をモデルに一緒に学んでいただき、たくさんの情報検索サイトをご紹介いたします。その後、各クラスに毎の課題を提示いたしますので、各人でパソコンを使用して医薬品の情報を探し解決していただきます。情報をまとめて資料を作る課題と、実際の現場でありそうな質問に対しパソコンで得られる情報を駆使して解決するクイズ形式の2種類をご用意いたしますので、医療現場で実際に役に立つ技術を身につけていただけるのでないかと思っております。上級コースでは大学研究者が行う研究論文の検索についてもご紹介する予定です。 会場や具体的内容等につきましてご質問などございましたら、リカレント教育センターまでメールか電話にてお尋ねください。
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高齢者支援に必要な知識と技術 「パート1知っておきたい生体患者情報:バイタルのとらえかた」
【日時】平成22年2月7日(日)13時~18時
【メイン会場】岐阜薬科大学附属薬局
【講師】名古屋市立大学 藤井聡、岡田浩美、鈴木匡
【内容】患者のバイタルサインをモニターし、薬の作用状況や副作用を考察することができれば、 特に高齢者や在宅患者への服薬指導を行う現場の薬剤師業務にとても有効です。今回の実習では、薬剤師が通常に手にいれられる、あるいは販売できる器具を使用して、患者の生体情報を得る手技を学びます。1)人体シュミレータを利用しての聴診器の使用法、2)血糖測定器の使用法、3)パルスオキシメータの使用法、4)電子体温計の測定方法、5)血圧計の使用法などを実際の器具を使用して習得するとともに、各測定器の注意点や測定値の見方を学びます。測定値の変化や外部要因による影響などを考察するため、運動していただいたり、糖分を摂っていただいたりしますので、動きやすい軽装で参加ください。
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