名古屋市立大学大学院薬学研究科 病態生化学分野

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脳の形成及び機能発現に関する分子基盤(分子神経生物学・神経細胞生物学)を研究しています。研究成果は、将来的にアルツハイマー病・統合失調症・難読症・自閉症などの難病の理解と克服につながると期待しています。主な研究テーマは以下の三つですが、全く新しいことにも取り組み始めています。


脳における神経細胞の層構造形成を司る分子メカニズムの研究

 脳では、形態と機能の類似した神経細胞が「層」を形成しています。この構造は細胞間コミュニケーションを効率的に行うために必要であり、その破綻は様々な疾患(滑脳症、難読症など)の発症に関与します。神経細胞が層状に並ぶためには、『リーリン』という蛋白質が必須ですが、その具体的な機能や制御に関わる分子メカニズムは今なお判っていません。また近年、リーリンが統合失調症やアルツハイマー病の発症や増悪化に関与することが相次いで報告され、創薬ターゲットとしても注目されています。リーリンの機能低下が病態を悪化させる例がほとんどなので、リーリンの機能上昇させるため、リーリン分解酵素について研究を進めています。


大脳皮質切片を層特異的マーカーで染色したもの

脳の高次機能疾患に関与する遺伝子の機能解析

 統合失調症、自閉症、難読症などの精神神経疾患は、患者数が多く社会的影響も非常に大きいです。しかし、これらの疾患の発症機構は今なお充分に理解されておらず、治療法も非常に限られています。最近、これら精神神経の発症や増悪化に関連する遺伝子の候補が同定されつつあり、脳の形成時に機能するものが多いことがわかってきました。これらの遺伝子の機能を解明することで、人間特有の脳の働きと、その破綻から生じる病態を理解したいと考えています。


培養神経細胞に蛍光蛋白質を導入し、
神経突起を可視化したもの

筋萎縮性側索硬化症(ALS)や認知症の発症機構解明

 神経難病であるALSや認知症は、加齢に伴い脳の神経細胞が変性して死んでしまうため、運動機能や認知機能が低下し、最終的には死に至る重篤な疾患です。患者数が多く社会的にも大きな問題ですが、治療法は見つかっていません。我々は ALSや認知症でRNAの代謝の異常が起こっていることを発見しました。この発見が実際に疾患の治療に結びつくよう、培養細胞・マウス・ヒト臨床検体を用いて更に発症機構解明の研究を深めています。

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