名古屋市立大学大学院薬学研究科・薬学部English SAMPLE COMPANY
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Ir(III)錯体とN-methyl-N-nitroso-4-aminophenolをドープしたP-dotsによるナノ粒子型光制御型NO供与剤の開発

 一酸化窒素(NO)は、血管拡張、神経伝達、免疫応答など、生体内で多様な役割を担う重要なシグナル伝達分子です。一方で、反応性が高く不安定であるため、その生理機能を解明するためには、空間的・時間的に制御可能な光応答性NOドナーが有用です。従来の光応答性NOドナーの多くは、組織透過性が低く細胞毒性の懸念がある紫外光を必要とするため、可視光で制御可能なシステムの開発が求められていました。当研究室ではこれまでに、NO放出部位と光吸収アンテナ部位を一つの分子内に組み込み、分子内光誘起電子移動(PeT)を利用した光応答性NOドナーを開発してきました。
 本研究では、NO放出部位であるN-methyl-N-nitroso-4-aminophenol(NAP)と光アンテナ部位として機能するイリジウム(Ir)錯体という2つの独立した成分を高分子ナノ粒子(P-dots)に導入し、P-dots内で生じる分子間PeTを利用した新たな光応答性NOドナーを開発しました。この手法は、NO放出部位と光アンテナ部位を一つの分子に組み込む従来の手法と比較して、化学合成が簡便であり、さらに光アンテナとなる色素の種類を容易に変更・検討できるという利点があります。

 検討の結果、図に示すIr錯体を用いたP-dotsが、青色可視光(430–460 nm)の照射によって効率的にNOを放出することが確認されました。そのメカニズムはは、Ir錯体の長寿命な三重項励起状態を介した分子間PeTに基づくものと考えられています。また、開発したP-dotsは毒性のある有機溶媒を必要とせず、水系で機能することに加え、調製後少なくとも24時間安定であることが示されました。以上より、本研究で開発されたP-dotsは、NOの複雑な生理学的機能を時空間的に制御・解析するための有用なツールになることが期待されます。
(2023年度博士卒 齋藤君による研究)

[発表論文]
Org. Biomol. Chem., 21, 2983-2989 (2023).

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