名古屋市立大学大学院薬学研究科・薬学部English SAMPLE COMPANY
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光により放出制御可能なH2S供与化合物の開発

硫化水素(H2S)は腐卵臭を有する火山性ガスとして知られる化学物質ですが、近年、体内で生合成され、平滑筋弛緩、神経伝達調節、抗炎症、血管新生誘発作用など生命維持に大切な様々な作用を示すことが明らかとなってきました。このように、重要な生理活性を有すると考えられるようになったH2Sを薬剤として用い、様々な疾患の治療法研究に利用できれば非常に有用です。しかし、H2Sそのものはガス状物質のうえ不安定で毒性があり、取り扱いにくい化合物です。そのため、H2Sの発生を制御できる化合物があれば、H2Sを安全にかつ簡便に取り扱うことができ、有用であると考えられます。

そこで、私たちは光による制御を可能にするH2S放出薬の開発を目指して研究を行いました。光による制御は光照射のオン・オフによって作用位置・作用時間の調節が容易であり、H2Sの生体内における新たな生命機能を探るような複雑な実験に適していると言えます。

私たちは、光吸収により分解する化学構造(光解除性保護基)によりH2Sを保護した化合物が光で調節可能なH2S放出薬になるのではないかと考えました。そして、解熱鎮痛剤であるケトプロフェンの化学構造を利用した光解除性保護基を用いると効率よく光に応答することを発見し、新しい光制御型H2S放出薬の創製に成功しました。

[発表論文]
Chem. Commun., 50, 587-589 (2014).
Bioorg. Med. Chem. Lett., 25, 175-178 (2015).

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