研究室・行事レポート
No-016 山岸先生、稲垣先生の論文
山岸先生、稲垣先生の研究成果が、英国科学誌Nucleic Acids Researchに掲載されました。
細胞内には、ミトコンドリアや小胞体などのオルガネラとは別に膜で覆われていない非膜オルガネラが存在します。その代表例がストレス時に形成されるストレス顆粒とPボディです。我々はこの顆粒形成にmRNAのポリA鎖が重要な役割を果たしていることを発見しました。ポリA鎖の短いmRNAはPボディの形成を促進し、ポリA鎖の長いmRNAはストレス顆粒の形成を促進するという現象です(図1)。そして、図2に示すストレス顆粒形成のメカニズムを解明しました。すなわち、ストレス時には細胞内mRNAのポリA鎖がグローバルに安定化しますが、その安定化したポリA鎖にポリA結合タンパク質PABPC1が会合し、脊髄小脳変性症の原因因子Ataxin-2がPABPC1とともにmRNAを不溶化凝集するというメカニズムです。脊髄小脳変性症や筋萎縮性側索硬化症をはじめとする神経変性疾患にストレス顆粒形成異常が関わる可能性が指摘されており、今後神経変性疾患発症のメカニズム解明が進展することが期待されます。