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研究室・行事レポート

No-014 稲垣先輩の論文

[2020年10月/担当:石川裕之]

稲垣先輩の研究成果が、米国生化学・分子生物学会誌The Journal of Biological Chemistry (JBC)のEditors’ pick articleに選出されました。

本論文では、脊髄小脳変性症の原因因子であるAtaxin-2の生理機能の解析を進め、Ataxin-2が標的mRNAの細胞質ポリA鎖伸長を引き起こすことで、その翻訳を促進し遺伝子発現を正に制御することを証明しました。体細胞において細胞質ポリA鎖伸長により遺伝子発現が正に制御される反応は、当研究室により2016年統合失調症の原因因子QKI-7ではじめて証明していますが(Yamagishi et al., NAR 2016)、本論文で二つ目の例となります。Ataxin-2もQKI-7と同様ポリAポリメラーゼPAPD4をmRNA上にリクルートし、ポリA鎖を伸長する共通のメカニズムが使われており、今後ポリA鎖伸長による正の遺伝子発現制御のメカニズムが一般化されることが期待されます。