フォトジャーナル

 

研究室・行事レポート

No-012 山岸先輩の論文

[2016年3月/担当:稲垣佑都]

山岸先輩の論文がNucleic Acids ResearchのBreakthrough articleに選出されました!

mRNAの3'末端ポリA鎖は、mRNAの安定性と翻訳の2つの局面において遺伝子発現に大きく寄与する重要な構造です。これまで、当研究室ではポリA鎖分解による遺伝子発現の負の調節機構の重要性について研究成果を発表してきましたが、今回はこれとは全く逆にポリA鎖伸長による遺伝子発現の正の調節機構が存在することを証明しました。細胞質ポリA鎖伸長は発生の初期過程において発見され、体細胞では神経において報告されていますが、それ以外の体細胞でポリA鎖伸長が遺伝子発現を制御していることを証明した論文はありませんでした。この論文では、パルスチェース法を駆使することで、神経以外の体細胞においてもポリA鎖伸長制御が存在することをはじめて証明したことが高く評価され、Nucleic Acids Research誌に掲載された論文のおよそ2%だけが選出されるBreakthrough articleに選ばれたと考えられます。統合失調症の原因因子として知られるRNA結合蛋白質QKI-7が、CDK阻害因子であるp27kip1などの遺伝子発現を正に制御するという点でもたいへん興味深い成果です。