教務方針2020 第2段階:対面講義を開始するにあたって
2020年6月1日 名古屋市立大学薬学部教務委員長 粂 和彦
4月20日の開講以後、いくつかの問題はありましたが、概ね順調に講義を提供できました。
慣れない形の講義を行って頂いた教職員のみなさま、自宅学習を継続して頂いた学生のみなさまに感謝します。緊急事態宣言が解除され、本学全体の方針として6月3日より通常講義を再開します。
しかし、COVID-19が収束したわけではなく、第2波、第3波が来ることが予測され、今後も感染対策は継続します。
感染が拡大し社会を閉鎖する時より、感染が下火になって社会を開放していく時の方が方針を決めるのは困難です。
政治的には感染対策と経済対策のバランスが議論されていますが、大学でも通常講義とオンライン講義のバランス、つまりリスク〜ベネフィット間のバランスが問題です。
講義開始時の方針に書いたように、座学講義については、
現在、提供しているオンタイムのオンライン配信型講義は、対面講義と比較しても充分な質が担保されていると考えています。
しかし、大学は単に講義のためだけに来る所ではなく、教員や友人との直接のコミュニケーションからは講義以上のものを得られることも多いはずです。
特に、今年度の新入生は、まだ同級生と話す機会も乏しく、本学に入学したメリットを提供できていません。
教養科目の対面講義が開始されることは、リスクを充分超える大きなベネフィットがあり、妥当な判断だと考えます。
一方、専門講義については、4月以後延期を続けてきた3年生の基礎実習を約1ヶ月間で集中して行う必要があります。
この実習は非常に重要で、関与する教員数が多いので、順調に進めることは、薬学部全体のメリットにつながります。
そのため、やや慎重すぎかもしれませんが、専門科目はオンライン講義を継続し、試験などの必要な日程のみ登校してもらう形で前期の講義を進めます。
2年生以上の学年はサークル活動などの自粛は継続しますが、少人数で友人と会うことが禁止されているわけではありません。
Zoomも使いこなせるようになっていると思います。講義で同級生と会える機会は作れませんが、是非つながりは強めて欲しいと思います。
その意味で、ガイダンスで紹介したSocial distance という言葉が、Physical distance と言い換えられたことを評価します。
今後も後者の「物理的距離」は保つべきでも、前者の「社会・心理的距離」は縮めるべきものだという「新たな定義」を推奨したいと思います。
また、教育は民主的であるべきだと考えます。
そのため、できる限り学生の状況を知り、意見を聞いて取り入れるために、作るのも大変、答えるのも面倒だったと思いますが、これまで多数のアンケートを行いました。
夏休み以後、後期についても、考え始めないといけない時期です。みなさんからの意見はいつでも歓迎します。
最後に、今後、感染者が出た場合は一定期間キャンパスを再閉鎖する可能性がありますが、その場合も、夏休みを利用すれば遅滞なく学習を遂行できます。
もちろん、無事に進めば、夏休みを自由に使ってもらうことができます。是非、自粛中にできなかったことを行うために夏を使って下さい。 そのためにも、学生自身にも感染リスク管理を求めます。とはいえ、感染リスクを完全に回避することは不可能で、自己責任だけではありません。
感染は誰にでも一定の確率で起きうることであり、誰もが一定のリスクを甘受すること、感染した人を責めないことが重要です。 正解がわからない中で決定した今後の方針ですが、みなさんの理解と協力を頂けると幸いです。