2-7) 森 仁美
2週間という短い期間でしたが大変貴重な経験ができました。
 日本とアメリカにおける薬学教育や制度の違いを肌で感じることができ、また様々な医療施設を見学させていただきました。
 私は5日間の Clerkshipで2回、授業を受ける機会がありました。1年生の授業でしたがすでに臨床的で、ところどころに Case Studyというものが用意されており、日本のようにただ受身のものではなく、積極的に生徒が授業に参加し、薬剤師になるために必要な知識と応用力を身につけるよう訓練されていました。また、授業中でも分からないことがあれば手を挙げて質問するという姿勢も日本の大学にはない光景に感じました。
 病院研修では、保険加入が任意のアメリカならではの施設に行くことができました。
ダウンタウンにあり、保険に加入できない低所得者や路上生活者のためのClinicで、決して清潔とは言えないものでしたが、診療代・医薬品代が無料ということもあり多くの患者がきていました。この費用は主に政府が補助し、医薬品は製薬会社から無償で提供されているということで、あまり日本では聞いたことがなく驚きました。また、待合室に鍵がかけられており治安の悪さを感じるものでした。
 ここでも学生が診察に訪れた患者のカルテ、検査値、服用している薬をみて、その患者の疾患・病状を把握し患者に対して何を聞くべきかを判断します。患者の薬の減り具合や会話からコンプライアンスはよいか、副作用は現れていないかを判断し、さらに日常の食生活、運動習慣についても聞き取りをしていました。診察が終わるとPharm.Dに報告し、服用中の薬の種類や量、血糖値の管理について改めて検討したり、臨床検査技師に血液検査などの測定を依頼したりしていました。
 日本では薬剤師はまだ医師の決定した処方に対して意見を述べるという関係が一般的です。アメリカでは薬剤師と医師が医療チームの一員としてお互いの立場から対等に患者に接しています。また、日本で患者の診察を行うのは医師のみであるので、アメリカのように薬剤師も積極的に患者と接して薬剤師の視点からより患者に合った薬を選択していくことによってさらに医療に貢献していくことができると感じました。今回の研修では、たくさんの方々にお世話になりました。この場を借りて、お礼申し上げます。
そして、この経験を今後生かせるよう努力していきたいと思います。