2-4) 内藤久美子
私は、アメリカの学生生活の実態や、薬剤師の立場などに興味があったので、この研修に参加した。
 最初の一日目は講義を受けた後に、薬学部のキャンパスを案内してもらった。
構内でスポーツにいそしんでいる学生もいれば、カフェテリアで熱心に議論している学生もおり、学校全体が非常に活気あふれている印象を受けた。
 二日目は本学に見学に行った。ここでは、哲学の部屋や大きなブックストア、コロシアムなどあり、設備の充実さが際立っていた。三日目は、再び講義で pharmacist's patient data base form を見て問題点や治療法などについて皆で話し合った。日本の授業でも習っていた soap であるが、実践しようとするとかなり難しかった。
 四日目からはクラークシップが始まった。初日は Lancho Los Amigos という病院で血中モニタリングの話を実際に病院で働いている薬剤師に聞いた。彼らは、専門的知識が豊富で自分の仕事にプライドを持っている様子であった。
 次の日は University Hospital でクラークシップを行った。次から次へオーダーが入り、薬剤師、テクニシャンたちは息つく暇もなく働いていた。午後は学生たちがディスカッションしている様子を見せてもらった。county hospital では午前中は医師の回診を見せてもらった。薬剤師が、医師と対等にディスカッションしている様子が非常に興味深かった。午後は学生たちが心房細動についてディスカッションしている様子を見せてもらった。また、学生と一緒にご飯を食べにいって世間話をすることができた。わずか一週間アメリカにいただけでも英語が多少なりとも使えるようになったことに満足した。
 次の日も county hospital で実習を行った。学生が、結腸癌の患者さんの診察記録を書き写すのを見せてもらったが、看護士など様々な人に疑問点をぶつけに行く熱心さが心に残った。また、午後の
ディスカッションについても議論が途切れることなく続き、日本の学生とのレベルの差を見せ付けられた気がした。「夕方、授業が終わった後は家でずっと勉強、テレビを見る暇もないわ」と言っていた学生のせりふが忘れられない。
 clark ship 最後の日は UPC pharmacy で行った。高用量ピルの使い方の説明書をもらい、学生が詳しく説明してくれた。大学内の薬局でピルを売っているということに大変衝撃を受けた。
 今回の研修で日本の薬剤師とアメリカの薬剤師の立場の違いがよくわかった。アメリカの薬剤師は様々な権限を持ち、熱心に患者さんとコミュニケーションをとっており、職業意識の高さを感じた。
日本の学生も、アメリカの学生並みの専門知識を身につけるためには、さらに臨床実習の時間を増やすなど配慮が必要であると思う。今回の研修が大変有意義なものになったのは、USC の学生たちが非常に親切に面倒を見てくれたおかげだと感謝している。