2-6) 鈴木英子
 研修では、最初に、アメリカの薬学教育の歴史や現在の教育システムについての講義を受けました。その際、日本の薬学教育との相違についてディスカッションを行いましたが、私たちの英語力では意思疎通を図ることが困難な場面もありました。より研修を充実したものにするためには、ある程度の英語力が必要であると痛感しました。次に、臨床での研修に備え、HIPPA Training (プライバシーの保護に関する規約) と患者に対するモニタリングの方法についての講義を受けました。どちらの講義も具体例を元にしたものであったため、理解しやすく、また、日本と共通する点も多々ありました。
アメリカで薬剤師になるには、通常4年間の教養教育を修了後、さらに4年間のPharm.D.プログラムを経て、免許を取得します。日本の薬学教育と大きく異なる点は、臨床実務実習に重点が置かれていることです。薬学4年生になると、6カ所の病院や薬局で、各6週間ずつの実務実習 (Clerkship) が行われます。
私は今回、County hospitalでのClerkshipに4日間同行させていただきました。County hospitalは郡立病院であり、主に民間の保険に加入出来ない低所得者が利用する病院です。前半2日は循環器科の病棟回診を、後半2日は精神科の外来問診を見学しました。循環器科病棟には、患者の心拍等の検査値が管理されたモニターがあり、いつでも容態がチェックできるようになっていました。どちらの科においても、患者の治療計画をたてる上で、薬剤師に薬物治療のプロとしての意見が求められ、医師と対等にディスカッションが行われているのが印象的でした。
この研修で日米の薬剤師の違いを実際に目にしたことは、これから医療に携わっていく者として貴重な経験となりました。日本では、薬学部6年制が始まろうとしています。アメリカのように臨床の場で薬剤師が活躍する機会が増え、それと同時に、薬剤師の責任も重くなっていくと思われます。今回のUSC研修で学んだことを今後、薬剤師として活動する上でいかしていきたいと思います。