2-12) 渡辺祐子
 私は四日間のClerkshipのうち、最初の二日間はUSC/Norris Cancer Hospital、後半の二日間はCounty HospitalでUSC 4th yearの学生の臨床薬学研修に同行した。
 Cancer Hospitalでは午前10時頃から医師ら(attending doctor 1人、fellow 1人、resident 3人)による回診があり、4th yearの学生と私達はそれを見学させてもらった。臨床実習の中で、患者との面会に立ち会ったり、面会前と後に行われる医師らのdiscussion場面を見学できることは、将来薬剤師になる学生にとってとてもよい経験になると感じた。午後は4th yearの学生とナースステーションへ行き、patient chartsを見ながら医師や看護師によって書き込まれた患者のpain scale、vital、臨床検査値、薬剤投与記録などをチェックしたり、TPNのカロリー計算について教わったりした。また、薬局を見学しながら、4th yearの学生に「医師が薬を処方→薬剤師が監査→テクニシャンが調剤→看護師が患者に投与」という流れを説明してもらい、薬剤師の職務や医療保険制度など日米で異なる点についても話すことができた。
 County Hospitalでは精神科の病棟で研修をした。一日目は個室で行われる医師と患者の面会を見学することが予定されていたが、その日は患者が面会拒否をしたということで中止になった。精神科ではよくあることのようであった。二日目は4th yearの学生と一緒に Pharm.D. の先生によるアルツハイマー病とパーキンソン病についての講義を受けた。4th yearの学生の薬についての知識は、薬剤師免許をとった私よりもはるかに高度であることにすごく驚かされた。講義は少人数で、学生から先生への質問や意見も活発になされており、大変勉強になる時間だと感じた。
 今回USCでの臨床薬学研修に参加して、アメリカと日本の薬剤師教育システムの違いがよくわかった。実務薬剤師になるのであれば、アメリカのように長期間の臨床実習を行うことで高度な知識や技術を身に付けることが必要であると思う。そして、これはチーム医療の導入や薬剤師の地位の向上につながるのではないかと考える。
 本研修はイベントや自由時間も含めて、英語によるコミュニケーションを体験できるよい機会であり、私にとって大変有意義なものであったことを嬉しく思う。