2-11) 宮津沙公子
 私はClerkshipでLos Angels County HospitalとUSC Hospitalへ研修に行った。
まず、最初の2日間はCounty Hospitalの循環器系のICUを見学させてもらった。County Hospitalは郡立病院で入院患者の多くが低所得者で、民間の保険に加入できず、診察料や入院費等お金が払えない人のための病院である。そのためもあってか、病棟内はICUでも日本ほど徹底した衛生管理は行われてなかった。また、患者それぞれの個室にはカメラが設置されており、病棟の中央部で状態が監視されていた。ここでは毎朝早くから、担当医、インターンの医学生、4thの薬学生、Pharm.D.など10名ほどでベッドサイドで患者回診を行い、それぞれの患者についてのディスカッションが行われた。
その際、時折、担当医等から薬学生にも薬剤についての質問がなされる事があったが、やはりまだ学生だからかPharm.D.ほど積極的に意見をすることはなかった。しかし、薬剤師が医師と供に患者回診につきあって対等に意見している姿は日本とは異なって薬剤師の権限の強さを感じられた。
 研修後半の2日間は、Pharm.D.と4thの学生とでHIVと乳癌についての治療薬のディスカッションを行った。この議論の間に、USCの薬学生の種々の薬剤に対する知識の豊富さに驚かされた。また、午後からUSC Hospitalの抗凝血専門外来も見学させてもらった。ここでは、抗凝血を専門に学んだPharm.D.がワルファリンの投与されている患者の血液凝固時間や血圧等を測定したり、服薬指導をしたりしていた。薬剤師がここまで、一医療人として患者から信頼を得ている姿を目の当たりにして、日本の薬剤師との違いを感じた。
 この研修に参加して、アメリカの薬学教育の違いや分化の違いを学ぶ事ができ、たった2週間といった短い期間だったが、自分の今後を考えるにあたっても、とても良い経験になったと思う。