2-8) 服部飛鳥
 薬学4年生の学生に連れられて、実際に病院の薬剤部を見学させていただき、一番強く感じたことは
薬剤師の専門性の高さでした。アメリカでは薬のピックアップや注射剤の調製はテクニシャンの仕事で薬剤師は監査のみ行います。しかし、患者の容態に応じた投与量の設定や患者教育など、専門性が発揮される分野では、薬剤師と医師が活発な意見交換を行い、より良い治療を行えるようにお互いに高めあう姿がしばしばみられました。薬剤師が医師と自由に意見の交換できる環境は素晴らしいと思いました。医師と対等に議論する彼らからは、多くの臨床経験で得た自信を感じ取ることができました。
 はじめに行った大学病院では、バンコマイシンの投与量設定が課題として挙げられ、学生が毎日、患者のカルテを見て容態を確認しながら投与量を計算していました。先生は、その計算に対して学生が考え、答えを導いた過程も含め、細かくディスカッションします。その議論の場には、学生だけでなく大学病院で働く薬剤師も多数加わり、活発に意見交換を行っていました。ただ、薬物動態学は内容も難しいため、全く理解できなかったのが残念でした。
 次に、Norris Cancer Hospitalの薬剤部を見学させていただきました。ここはガン治療専門の私立病院で、ガンの種類別に専門医がおり、より高度な治療を受けられるようになっています。また、病床以外にも研究のためのオフィスもありました。ここの薬剤部の主要な仕事は、外来患者のIV調剤でした。通院で治療を受けに来る患者のための点滴を用意し、同時にTDM対象薬物について血中濃度の測定
投与量の設定を行っていました。ここの病院では、外来患者の処方箋調剤も一部行っており、日本の病院と全く違うわけではないと感じました。