2-10) 森川浩治
 日本とアメリカの薬剤師では、大きな違いがいくつか見られた。その1つとして、日本の薬剤師は薬の
ピッキングに多くの時間を費やしているのに対して、アメリカではそれらの業務を行わないことだ。そのかわり自分の受け持つ患者の検査値を細かくチェックし、投与中の薬の投与量、投与間隔が適切かどうかを毎朝検討していた。さらに、それらに変更が必要であると判断したときは医師などとdiscussionを積極的に行うということだった。日本とは異なり、アメリカの薬剤師は、より薬に関する知識、経験が生かされる仕事を行っている印象を受けた。また、薬剤師に限らず、栄養士なども医師と積極的にdiscussionを行うことから、チーム医療という点では日本よりも一歩進んでいると感じた。
 医療に関する両国間での違いという点では保険制度の違いが大きく関与している。アメリカでは、国民皆保険制度はなく、それぞれの人が自分の収入に合った民間保険に加入する。したがって、低所得者の中には保険に加入することができない人もいる。それらの人は、county hospitalなどの病院で無料で診察、治療を受けることができる。その1つとして、私がclerkshipで訪れたL.A.county hospitalでは、麻薬中毒の患者や、銃で撃たれた患者などが多く見られ、彼らがうけている治療はすべてが実質無料だという話をPharm.Dの学生から聞いた。日本と違い、収入に個人差の大きいアメリカではこのような制度が適していると感じた。
 英語でのコミュニケーションには、思っていた以上に苦労したので、言語の大切さを強く感じた。しかし
ゆっくりでも話したい内容がしっかりイメージできていれば、伝えることができ、USCの学生ともそれぞれの国のことを話し合うことができた。
 この研修で、アメリカとの文化、特に医療に関する違いを感じることができた。これから、自分が大学で学ぶときは、受身で学習するのではなく、やっていることを客観的に見て、そのことを学ぶことによってどのような意味があるのかを考えながら学習していきたい。