2-4) V.A. Facilities A. V.A. west L.A.
アメリカにおける医療の風景  アメリカでは日本と異なり、6ヶ月間、同一処方箋の再利用(refill)が可能である。このシステムを利用したサービスがメーリングサービスであり、私たちが見学に行ったV.A. west L.Aではこのサービスが広く利用されていた。メーリングサービスではバーコードを使用したオートメーション化が進んでいるためほとんどの仕事を機械に頼り、テクニシャンが機械の補助を、薬剤師は最終的な監査を行っていた。
 CMOPとはConsolidated Mail Outpatient Pharmacy operationの略であるが、これはコンピューターを利用して、同一処方を反復利用する患者に医薬品を郵送するシステムである。CMOPを使用することで、病院は退役軍人患者(VA)に対するケアの質を高めることができる。直接的な薬剤師と患者との関わりは病院で行うが、端末のコンピューターに入力されたrefillの処方箋の要求は自動的にCMOPに転送され、完成した処方は郵送で患者に送られる。調剤のデータは病院に転送され、調剤記録として保存される。このシステムの使用により、V.A. Hospitalの薬剤師は、患者の教育や、患者に処方された薬剤の評価、調整に、より多くの時間を費やすことが可能となった。またCMOPは1974年にL.A.で始まった。
 当時、L.A.内の3つのV.A.施設でケアを受けている患者に対し、1日3500枚の処方箋を扱っていたが、現在ではその処方箋枚数は1日17000枚にものぼる。言うまでもなく、1日17000枚もの処方は、簡単なことではなく、調剤はおもにテクニシャンがコンピューターの画面上の処方を見ながら行う。さらにバーコードでチェックを行い、それをベルトコンベアーにのせる。その後、薬剤師により調剤のミスが監査され、さらに郵送前にもチェックを受け、それから患者のもとへ郵送される。このようなシステムは現在の日本には存在しないが、今後高齢化が進み自分自身で移動するのが困難な高齢者が増えるにしたがって薬局に行かずに薬が手に入るというこのシステムは、多くの需要があると感じる。しかし、このシステムの実現にはまず同一処方の反復利用が認められる必要があり、慎重な日本人の国民性等を考えると、実現に達するには長い年月を要するだろう。