2-3) County Hospital A. TPN
 ここはUSCに隣接する郡立(County)の病院で主に民間の健康保険に加入できない低所得者が利用する病院である。アメリカでは日本と異なり、国民皆保険制度ではなくそれぞれが自分の收入にあった民間保険に入る。収入が多い人はそれだけ高額な保険に入ることができ、あまり多くない人は低額の保険に入る。したがって医師にかかったときに自己負担が異なり、それに合わせて行く事のできる病院が
変わってくる。County Hospitalはメディケアとかメディケイドという低所得者が入っている国の保険から費用が一部負担されるしくみになっている。TPNにおける薬剤師の役割を見学した。薬剤師はほとんど毎日、病棟でカルテを見て血液検査などの臨床検査値をチェックする。Na、K、BUN、Cr、などの検査値からTPNの組成が現状でよいのかを考えていた。次にTPNのスペシャリストの薬剤師、栄養士とともにconferenceをして担当患者の血中NaKなどが正常範囲になるようにTPNの組成を維持したり変更する又は追加で必要な物を投与するかどうかを判断していた。County HospitalでのTPNは約束処方
(その他資料を参照)のような形でいくつかの組成があらかじめ決定されていて、主にそのformularyを変えるという事であった。薬剤師は栄養士の提言に従い、患者の体内におけるNa、Kなど濃度計算をして確認していた。このconferenceは午後1時から4時頃まで続いた。日本では栄養士が患者の治療方針に関わることはないため不思議な光景に思えた。しかし、医療現場に様々な領域のスペシャリストを採用しているアメリカにとっては当然のことなのかもしれない。
 このTPNに限らず今回の研修で行くことのできた医療現場ではほとんどが「医療活動→discussion」がひとまとめになっていた。大学における講義でも「自分で問題を解く→みんなでdiscussion」がよく行われているようであったので薬剤師になった時のためにしっかりと学生の頃から訓練されているのだと感じた。