2-9) Rancho Los Anigos National Rehabilitation Center
 Clinical Experiencesは、2人1組となり研修をさせてもらった。朝8時30分に大学のロビーでUSCの学生に迎えにきてもらい、その学生が実習している病院へ案内してもらった。病院内はUSCの学生あるいは、病院の薬剤師の方等が私たちを案内してくれた。
 ここで、私達はUSCの学生と薬剤師によるディスカッションに参加させてもらうことになった。
ディスカッションでは、患者に対するワーファリンの投与量をどうするかというようなことが話されていた。そして話を聞いてると、アメリカにおいてはワーファリンの治療域の設定は医師が行うが、その治療域に入るようにワーファリンの投与量を調節するのは薬剤師の仕事であるということであった。
 そして、このような場合は医師の了解なしで、薬剤師の判断で投与量の変更を行うことができるということであった。日本では、薬剤師は投与量の提案を行うことはできるが、どんな場合でも医師の了解のもとでなければ薬物の投与量を変更することはできない。私はこのアメリカと日本での違いにはとても驚かされた。そして、アメリカで薬剤師の信用がすごく高いということ。
 また日本に比べて薬剤師の役割が大きいということを改めて実感することとなった。ディスカッションに参加させてもらって、USCの学生がワーファリンの投与量をどうすればよいかということに対してしっかりと自分の意見を持っているということに驚かされた。日本の薬学部の学生では、医療実習の際
ここまで患者に対する薬物治療に対して意見を言えるかどうかは疑問である。これはやはり、アメリカと日本での薬学教育の違いのためであると思われる。アメリカの薬学部の学生は、ほとんどが病院あるいは薬局の薬剤師になり、日本のように研究職に進む学生はほとんどいない。そしてアメリカの薬学部の教育も臨床に焦点をあてており、臨床薬剤師に必要な知識を徹底的に学んでいる。
 このような教育を受けているために、アメリカでは日本と違い学校を卒業した直後からでも臨床の現場において実際に十分役立つ薬剤師として働けるのであろう。アメリカに比べて日本ではまだまだ薬学部を卒業しても、臨床の現場ですぐに薬剤師として十分に役立てるかというと、それはおそらく無理であると思われる。実際に就職してから臨床のことを学んでいくというのが現状であろう。今回のアメリカ研修に参加することで、改めて臨床薬剤師を目指すのなら、学生時における臨床実習がとても大切であるということを感じた。